回想日記〜不動産営業マン3〜
「もすけくん、こっちきて」
僕の教育係のTさんに呼ばれた
「地元はどこ?その辺なら地理感あるよね。
ならこのチラシ持ってこの辺の住宅団地行こうか」
そのチラシには
「求む売り家!」
と書いてあった。
要は、家を売りませんか?という広告だ。
それを300枚持って目的の所にTさんの車に乗って向かった。
車内では今の僕の立場や今後の目標について教えられた。
まず僕は
・3ヶ月以内に100万を稼がないと社員にはなれない(クビてこと)
・チラシからの反響か見つけた空き家の謄本から所有者にアプローチした反響しか取れないこと(知り合いや親戚とかの依頼はダメてこと)
が告げられた。
全くやったことがなかったので、
難しいのか簡単なのかも分からなかったが、
きっと大丈夫だろうと無駄に自信家だったので前向きに捉えていた。
が
その考えは覆される。
結果から言うと、
僕は社員になるまで5ヶ月掛かった。
泣きの1ヶ月延長を2回許してもらい、
本当にクビになる寸前に、
数字を上げ社員になれたのだ。
僕はひたすらにチラシを撒きまくった。
一生懸命。
真面目に。
毎朝
毎昼
毎晩
一日中撒きまくった。
毎日600枚ほど撒いていたと思う。(一戸建てのみ)
歩き回ってチラシを撒く中見つけた空き家も、
所有者を調べるために、
隣家に聞き込み、
町内会長に聞き込み、
事務所に戻って登記を取り、
電話番号を調べてアプローチ、
直接訪問もした。
しかし売ってくれる人が1ヶ月間に全く現れなかったのだ。
これには参った。
「まだ反響ないの?運ないねー。本当に撒いてんの?」
疑われることもあった。
まだ媒介契約(売却依頼を受ける契約)すら受けてないのに、
あと2ヶ月でどうやって100万円の仲介手数料を発生させたらいいの?
1ヶ月目にして精神的にとても追い詰められていた。
今日はここまで。
次回は初反響の話を書きます!